世界一リッチな競馬レース


砂漠の国アラブ首長国連邦(UAE)ドバイにある、ナド・アル・シーバ競馬場で毎年3月最終土曜日に開催される、ドバイ・ワールド・カップ(以下ドバイWC)は、世界一のオーナー・ブリーダー、ゴドルフィンの総帥として知られる、ドバイ新首長シェイク・モハメッド・ビン・ラーシド・アル・マクトゥーム(以下モハメッド殿下)の発案で、当時の世界最高賞金レースだった、アメリカのブリーダーズ・カップ・クラシックを超える国際レースとして、1995年にスタートしました。世界最高賞金額もさることながら、現在では各国の最強クラスの競走馬とトップ騎手が参戦し、ブリーダーズ・カップ・クラシックや、ケンタッキー・ダービーと肩を並べる、ダートの最高峰の競走として、世界中の注目を集めるまでに成長しました。
今年で11回目を迎えるドバイWCは、1998年からG1に昇格、現在では、純血アラブ種限定のドバイ・カハイラ・クラシックと、6つの国際招待レースが開催され、武豊の言葉を借りると「ドバイ・ワールド・カップ・デー。2つのG2レースと4つのG1レースがまとめて開催される、世界で最もぜいたくな一日」を経験できる、それはそれはゴージャスな競馬の祭典なのです

今年はモハメッド殿下が所有する、ディスクリートキャットがUAEダービーで、エレクトロキューショニストが大トリのドバイWCで見事優勝しました。騎手はともに殿下お抱えのフランキー・デットーリです。第10回の昨年は、殿下のお馬、デットーリ共に元気がなく、さほどの盛り上がりを見せませんでした。長きに渡りドバイの競馬の発展と振興に多大な貢献を果たした、兄上のマクトゥーム殿下を喪い、ドバイの新首長に就任したモハメッド殿下にとって、今年の優勝は「命題」でした。いつも表彰式の壇上にお姿があった前ドバイ首長のマクトゥーム殿下、今年はもうお目にかかることができませんでした。しかしその寂しさを補って余りある、今年の活気と盛り上がりぶりでした。
(在りし日のマクトゥーム殿下(右)とモハメッド殿下)


各馬が600mの直線コースに達すると、場内は歓声と悲鳴に包まれ、エロクトロキューショニストがゴールした瞬間、スタンドからは紙吹雪が舞い、貴賓席の王族も、無料エリアに陣取る大勢の出稼ぎ外国人労働者達も、狂喜のあまり小躍りしながら「フランキー!UAE!」と連呼に次ぐ連呼。デットーリとエレクトロキューショニストがウィナーズ・サークルに入ってくると、歓声と拍手はさらに増してスタンドは総立ち状態。そしてデットーリが勝利のデットーリ・ジャンプを決めた時、場内の興奮と熱気は最高潮に達しました。お金のある人も、そうでない人も、競馬を介してそれなりにリッチで楽しい気分に浸れる。それがドバイWCの魅力なのです。
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■ 写真について MIYOKO Akiyama撮影