ゴドルフィンとフランキー・デットーリ

■ ゴドルフィン
少年期から競馬に造詣の深く、英国留学時代から馬主として活動していたモハメッド殿下は、1980年に米国の二歳馬市場で本格的に競走馬購入を開始、1994年所有馬ラムタラの成功を機に、競走馬の生産・管理・調教を一貫して行うゴドルフィン/Godolphinを設立しました。このゴドルフィンは、専属騎手のフランキー・デットーリと、ゴドルフィン・ブルーと呼ばれる青の勝負服で、競馬ファンの間ではあまりにも有名ですが、最近では潤沢な資金にものをいわせて、積極的に世界の強豪馬をトレードして、即チャンピオンの座を狙う傾向にあります。
今年のドバイWCのエレクトロキューショニスト(2005年英国際ステークス優勝)と、UAEダービーのディスクリートキャット(米国サラトガのデビュー戦でスピード指数106、2005年2歳馬で最高を記録)の優勝は、ずばり殿下の狙いが当たったといえるでしょう。そしてこのほど、何とゴドルフィン・マイル優勝の日本馬ユートピアをトレードしてしまいました!橋口調教師からスルール調教師にバトンタッチして、11月のブリーダーズカップ・マイル参戦を視野に入れているそうです。

■ フランキー・デットーリ
今年のドバイWC優勝騎手、モハメッド殿下率いるゴドルフィンのシンボル、そして競馬ファン誰もが認める、現在世界最高の騎手ランフランコ(フランキー)・デットーリはイタリア、ミラノ出身の35歳、父親のジャンフランコ・デットーリも名騎手として知られた存在でした。
デットーリといえば、青の勝負服と、ビッグ・レースに勝利した際には、馬上に立ちそこから飛び降りる「デットーリ・ジャンプ(フライング・ディスマウント)」が有名ですが、騎手デビューの翌年1986年、ミラノでの初勝利から世界のGIレースに100回以上勝利、記憶に新しい2005年ジャパン・カップを含め、日本のGIレースも4勝するなどの偉業をなし遂げています。

1994年にゴドルフィンの専属になり、1997年には英アスコット競馬場で1日7レース全勝という記録を打ち立てました。2000年3月、ドバイWCでドバイミレニアムに騎乗、2着に6馬身以上の差をつける驚異的な勝利を収めます。同年6月1日飛行機事故にあい再起を危ぶまれましたが、奇跡的な回復を遂げて、2003年にはムーンバラッドで2度目のドバイWC優勝、そして今年2006年3月25日エレクトロキューショニストで見事ドバイWC3度目の優勝に輝きました。
「彼は、きっとやってくれると思っていたが、1番ゲートに当っていささか不安になった。(ドバイWCで1番は勝利できないというジンクスがあった)ゴドルフィンが13年目を迎えた今年、年々高まる期待に正直プレッシャーは大きかった。しかし応援してくれる皆のため、ドバイのため、UAEのためにぜひとも勝利しなければならない。アメリカ馬ウィルコとブラスハットを追い上げてゴールするまで、ボクは息を詰めたままだった。最後の最後でブラスハットを振り切るのは本当に厳しかった!彼と息が合ってたって?ボクにも彼にもイタ公の血が流れているからね。」デットーリはレース直後の会見でしみじみと語りました。
■ ゴドルフィン・ギャラリー
ドバイWCデーに先駆けて、3月23日ナド・アル・シーバ競馬場にあるゴドルフィン・ギャラリーで、伝説の名馬ドバイミレニアムに騎乗するデットーリの蝋人形が、モハメッド殿下のご子息ハムダン殿下によって初公開されました。ここには今まで活躍した馬や優勝カップなど、ゴドルフィンの栄光の歴史が一堂に展示されています。ウインストン・チャーチルからデヴィッド・ベッカムまで、著名人の蝋人形で有名なマダム・タッソーから、ゴドルフィンの総帥モハメッド殿下への贈り物として、7人の彫刻家を含む30人のスタッフにより制作されたこの作品は、完成までに3ヶ月を要しました。


伝説の名馬ドバイミレニアム モハメッド殿下自身の生産馬ドバイミレニアムは、2000年のドバイWCで優勝させることを夢見て名付けられました。そしてその夢は現実のものとなり、サラブレッド・レース史上に残る感動的な優勝を遂げました。モハメッド殿下と騎手のデットーリは「これまでで最高の馬」と絶賛し、更なる活躍が期待されましたが、同年8月故障のため惜しまれながら引退します。その後は種牡馬生活に入りますが、2001年4月29日、グラス・シックネスという奇病に冒され急死しました。当時モハメッド殿下の憔悴ぶりはかなりのものだったそうです 蝋人形はこの不世出の名馬と天才騎手デットーリの、ミレニアム優勝ゴールの瞬間を再現しています。このドバイミレニアムはじめ、ドバイWCすべてのゴドルフィン優勝馬を手がけたスルール調教師は、彼の記憶にいつまでも留まる名馬に対する賛辞に喜びながら「本当にドバイミレニアムに生き写しです。いつまでもこの凄い馬の想い出を持ち続けることができるでしょう。」と感慨深げにコメントしました。 またデットーリは「ボクは5時間もクラウチング・スタイル(風圧を少なくしてスピードを得るための前かがみの姿勢)を取り続けなければならなかった!それは通常1レースで2‐3分の間だから相当キツかったよ。それにしてもこの馬は特別な存在だった、そしてボクはお伽話の一部だった…だからゴドルフィン・ギャラリーに、それがあるのは実に素晴らしいことだよ。」と蝋人形制作の苦労話を語りました。
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■ 写真について MIYOKO Akiyama撮影