2007年5月3日


アラブ首長国連邦が成長を続けるわけは  〜 ドバイ・ワールド・カップの現場から (2)

■ 全7レースの結果について
 
  UAE騎手   ギャレット・ゴメス騎手
 
  取材陣   ドバイ・ゴールデン・シャヒーン
 
   (上段) カハイラ・クラシック出場のUAE騎手
      (右)ゴドルフィン・マイル優勝の、スプリングアットラストとギャレット・ゴメス騎手
   (下段) ダート・コースを横断する取材陣
      (右)ドバイ・ゴールデン・シャヒーンの優勝騎手フランキー・デットーリ
   

 さて、レース本番当日の3月31日は、風が強めとはいえ日差しが強く初夏を思わせる天気。まだ日も高い午後時、最初のレースが始まりました。 第1レースは純血アラブ馬限定のG1レース『ドバイ・カハイラ・クラシック』です。ベテラン、リチャード・ヒルズ Richard Hills騎乗の 地元UAEのマジャーニ Madjanが2006、2007年に続き1着を勝ち取り、見事3連覇を成し遂げました。ちなみにこのマジャーニはモハメッド殿下の兄上、ハムダン殿下の持ち馬です。
 第2レースは去年ユートピアが1着となった『ゴドルフィン・マイル』。日本のフサイチリシャールも健闘したものの6位。優勝はギャレット・ゴメスGarrett Gomez騎乗、アメリカのスプリングアットラスト Spring at Last。短距離ダート戦ではスピードとパワーで他を圧倒するアメリカ馬にはまだまだ歯が立たないのが現実です。

  鼓笛隊   フェニックス
 
  デットーリ   殿下
 
  騎馬隊
 
   (上段) ハーフ・タイムの鼓笛隊   (右)ハーフ・タイム、巨大スクリーンに映し出されるフェニックス
   (中段) ハーフ・タイム、スクリーンのデットーリ   (右)ハーフ・タイム、スクリーンの殿下
   (下段) ハーフ・タイム、騎馬隊
 

 第3レース『UAEダービー』を制したのは、MIYOKOご贔屓のウェイチョン・マーウィンが騎乗する南アフリカのアジアティックボーイ Asiatic Boy。2着に9馬身も差をつけての圧勝でした。南アフリカにとっては去年(ドバイ・デューティー・フリーで直前の出走取り消しに泣いた)の雪辱となりました。日本馬のビクトリーテツニーは5着でしたが、健闘したといっていいでしょう。
 第4レースの『ドバイ・ゴールデン・シャヒーン』はダート1200m直線コース。勝ったのは、やはりというか、短距離ダートに無敵とも言える強さを見せるアメリカ馬のケリーズランディング Kelly's Landing。騎手のフランキー・デットーリは、デットーリ・ジャンプを見せて大いにスタンドを沸かせましたが、アメリカ馬でのこの場面を予想していなかった多くのカメラマン(自分を含め)はシャッター・チャンスを逃がしてしまったのです。
 あたりもすっかり暗くなり、これからがとても競馬とは思えないショータイムの始まりです。サーカスあり、騎馬隊あり、楽隊あり、その上巨大スクリーンにモハメッド殿下、デットーリとゴドルフィンの名場面がこれでもかと映し出されたあと、お約束の花火!ともかくど派手なことこの上なしです。

  オリビエ・ペリエ   ドバイ・シーマ・クラシック
 
  アドマイヤムーン   ウイニング・ラン
 
   (上段) ドバイ・シーマ・クラシック、6着に終わったオリビエ・ペリエ騎手
       (右)ドバイ・シーマ・クラシック表彰式、喜びを爆発させる香港陣営
   (下段) ゴールするアドマイヤムーンと武豊
       (右)ドバイ・デューティー・フリー、ウイニング・ランのアドマイヤムーンと武豊
 

 レースもいよいよ佳境に入り、第5レースは昨年ハーツクライが勝ったG1『ドバイ・シーマ・クラシック』。おなじみオリビエ・ペリエ騎乗のポップロックは前評判も高かったが、スタートの遅れが最後まで響き無念の6着。優勝は香港のヴェンジャンスオブレイン Vengeance of Rain。表彰式での香港陣営の喜びようは半端ではありませんでした。無理もありません、2005年NO1ホースの座に輝いたにも関わらず、2006年の大部分は心臓疾患による体調不良でレースからの離脱を余儀なくされていたのが、ここドバイで完全復活を見せつけたのですから。
 第6レースは日本馬が勝つ可能性が最も高いと予想されたG1『ドバイ・デューティー・フリー』。結果は武豊騎乗のアドマイヤムーン1着、安藤克己騎乗のダイワメジャーが3着。期待どおりとは言え、現場で祝う勝利は格別です。ことに関係者らが、みな満面の笑みで握手をかわし喜び合う様子に、一日本人として感動を覚えると同時に誇らしく感じたものです。

  近藤オーナー   優勝インタビュー
 
  フェルナンド・ハラ   ドバイ・ワールド・カップ表彰式
 
   (上段) ドバイ・デューティー・フリー表彰式、ドバイ皇太子ハムダン殿下と近藤オーナー
       (右)日本のメディアから優勝インタビューを受ける武豊
   (下段) ドバイ・ワールド・カップの優勝騎手、19歳のフェルナンド・ハラとドバイ副首長ハムダン殿下
       (右)ドバイ・ワールド・カップ表彰式、インヴァソールのオーナー、ハムダン殿下(兄)とモハメッド殿下(弟)
 

 そしていよいよ最終、世界最高の賞金がかかった第7レースのG1『ドバイ・ワールド・カップ』。勝ったのは、大方の予想どおりアメリカ馬のインヴァソールInvasor。最大のライバル視されていたゴドルフィンのディスクリートキャットは、体調不良でレース回避も囁かれていましたが強行出走?がたたって最下位の7着と惨敗。観客の多くが最終レースでのデットーリ・ジャンプを期待していたが、この結果にさすがのフランキーも、声を掛けるのも憚られる落胆ぶりでした。
 モハメッド殿下お抱えのゴドルフィン勢は、去年と打って変わり総崩れでかってない不振の年になってしまいました。それでも会場の雰囲気が盛り下がらないのは、インヴァソールがハムダン殿下の持ち馬だったからです。クリストフ・ルメール騎乗、日本のバーミリオンはよく踏ん張って4着。ターフでは世界最高峰の実力が証明された日本馬ですが、ダートでは(アメリカ馬が強すぎるとは言え)まだ世界との差は少なくないと言うのが正直な感想です。

 
■ 不振のデットーリ、その原因は?
 
  後輩騎手と談笑するデットーリ   ゴドルフィンの勝負服
  
   後輩騎手と談笑するデットーリ   (右)ゴドルフィンの勝負服では振るわなかったデットーリ
 

  さて、そのゴドルフィンを象徴するイタリア人騎手フランキー・デットーリの今年の不振の原因は何だったのか、馬のコンディショニングの問題もさることながら、イタリアン・レストランを経営するビジネス・マンとしての成功から、彼自身のモチベーションの問題も噂されたりもしており真相はよくわかりません。ですが、スター騎手といえどもいい日もあれば悪い日もあります。とにかく間近でみる彼は、どこか人間離れした風貌にただようオーラ。レース前とはいえ、まわりを圧する独特の雰囲気に超がつく一流感がびしびし伝わってきたものです。36歳という年齢は、騎手としてはまだ引退するには早いでしょう。他の追随を許さない実力と実績があるのですから、あと一花二花咲かせてくれることを大いに期待したいところです。

 

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