2007年5月3日

アラブ首長国連邦は、アラビア半島南東部ペルシア湾とオマーン湾に面した面積約8万3千600ku(北海道とほぼ同じ)の小さな国。名前のとおり7つの首長国からなる連邦国家。人口約450万人。うちローカル(カンドゥーラとよばれる白装束(男性)なので一目でそれとわかる)が2割で、残り8割は主としてアジア・アフリカ・中東からの外国人。この比率だけを見てもかなり特殊な国であることがわかります。そしてこれらローカルと外国人、あるいは外国人でも出身国によって職域、生活空間が棲み分けられ、普段はあまり交じりあうこともありません。

街でみかけるのも、レストランなどサービス・スタッフはアジア系が多いのですが、そのレストランで食事をするオフィス・ワーカーの一団はレバノン・シリアあたりからだな、といった具合です。アジア・アフリカと一口に言っても、英語が不自由なくしゃべれるかどうかで得られる仕事も当然変わってくるでしょうから、住むところも、出入りするところも違えば移動の手段も違います。市バスに乗れば(これがまた乗るだけで一苦労なのですが)、今のドバイの発展を下支えしているとおぼしき下層労働者であふれんばかり。デイラの街を歩いていてふと気がつくと、前も後も周囲数10メートルの混雑にひしめくのがインド・パキスタン系の男性ばかりだった時は思わずくらくらしてしまったものです。

ドバイを訪れる観光客の多くは、ゴージャスなホテル・ライフ、巨大ショッピング・モール散策、砂漠ツアーなどを楽しむのが目的でしょうから、リッチな風情のローカルや外国人観光客を目にすることはあっても、いわゆる労働者があふれる下町の空気に触れることはあまりないかもしれません。がひとたび旧市街あたりに出かければ、その多様性は別の意味でゴージャス感を味わわせてくれます。刺激を求める向きには、半日でいい、ぜひ、デイラの下町を歩き、クリークを往復するアブラ(渡船)に乗ることをお勧めします。



(中段) モハメッド殿下と王族 (右)MIYOKOとシリア人の友人夫妻
(下段) 競馬ファンの、サッカーUAE代表ブルーノ・メッツ監督
(右)騎手の勝負服パターンのネクタイを自慢する紳士
そしてこういった風景が凝縮されるひとつの場がドバイ・ワールド・カップ・デイのナド・アル・シーバ競馬場です。 インターナショナル・ビレッジに集う男女は着飾り、酒を飲み、歌い、踊り、レースよりむしろ社交に興味があるようです。背中の大きくあいたドレスに孔雀のような帽子、原色の目にもあざやかなアフリカの民族衣装。いわゆる外国の競馬場は大人の社交場だというのを体感できるのがここ。その華やかさは会場内でも群を抜いていました。
そしてスタンドの中央、観戦に最高の席を陣取るのは、オバQ(カンドゥーラ着用の王族)たち。ドバイの首長モハメッド殿下を中心にじっくりと観戦する姿が印象的です。勝てる馬をその鋭い目でチェックし、傘下に引き抜くことに余念がないようでした。
そのすぐ隣の区画には無料席が設けられており、デイラの街やバスで見かけるアジア系アフリカ系の家族連れが所狭しと敷物を広げ、場所を確保しレースに熱狂しています。馬券もないのに、ですよ。そこに広がる光景は混沌として、一種の無法地帯のようにも見えるのに、実は結構みんなお行儀が良いのも私の?を増幅します。
さまざまな人種、さまざまな層の人たちが、それぞれの居場所でそれぞれの目的にあわせてそれぞれに熱中している、そんな印象を受けます。そう、競馬場の外でもそうであるように。しかも、レース自体は最高に盛り上がり、いまやここで勝利することは世界中の競馬関係者にとって最高の栄誉なのです。うーん、競馬といえばギャンブル、競馬場は一攫千金をねらう人間であふれる国からやってきた者にとって、この光景はやっぱりかなり不思議です。